【会社設立後に知っておきたい税務】個人事業を法人成りした場合の所得税の予定納税について

個人事業からの法人成りはよくあるはなしですが、法人成りする方はある程度利益が出ている場合が多いため、個人事業として予定納税が発生することが多くあります。その場合の予定納税について気をつけることがあります。

1.所得税の予定納税とは

 所得税の予定納税とは、前年分の所得金額や税額などを基に計算した「予定納税基準額」が15万円以上である場合、その年の所得税(および復興特別所得税)の一部を、確定申告前にあらかじめ納付(前払い)する制度(納付月および納付回数は、7月と11月の年2回)です。
 その「予定納税基準額」とは、大まかに言うと、前年分の所得税額から源泉徴収税額(給与などから天引きされた所得税額)を控除して計算した金額のことです。

 予定納税基準額の税額計算にあたっては、個人事業を法人成りしたことは考慮されません。このため、法人成りをした場合であっても、上記の要件を満たす場合には、原則として予定納税通知書に記載された税額を、納期限までに納付しなければならないこととなります。

2.対応策:所得税の予定納税の減額申請

 今回のご相談の場合のように、法人成りをしたのに、個人で所得税の予定納税額を納付するとなると、資金繰りが非常に厳しくなることが予想されます。
 このようなときは、税務署に申請を行うことで所得税の予定納税額を減額できるという制度(予定納税額の減額申請)を利用されるとよいでしょう。弊事務所においても、個人事業での業績が好調のため法人なりするということが年に数件ありますのでよく申請を行います。

 予定納税額の減額申請手続きは、申請期日までに申請書を作成し、税務署に提出することにより行います。ここで注意が必要なのは、この申請にあたっては提出時期が決まっており、そのタイミングを逃すと減額ができません。1回目の申請に間に合う場合には、その年の7月1日から7月15日(7月15日が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日))になります。1回目での期日内に申請が間に合わなかった場合は1回目の納税は必要になりますが、2回目の納付だけでも減額ができるので、その際には11月1日から11月15日までの間に申請を行います。期日前の申請は受けてくれないので注意が必要です。

 減額申請書を記載する際には、前年の申告書および予定納税の通知書を用意してください。ほとんどの記載内容はこちらを書き写すことで完了します。具体的な理由は、記載例にある廃業を記載してください。

 この減額申請が承認された場合の1回あたりの予定納税額は、今年の所得税見積額の3分の1となります。法人なりによる減額申請手続きということであれば、納税額はゼロになりますので資金繰りを改善することが可能となります。

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