【会社設立後に知っておきたい税務】配偶者が勤務先から受給した「休業手当」の年末調整時の取扱いについて

休業手当の受給額は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄の記載において、収入金額等に含めていただく必要があるものと考えられます。

配偶者控除制度の概要

 所得税法上、納税者が「控除対象配偶者(※1)」を有する場合には、その納税者のその年分の所得金額に応じて、13万円から48万円までの控除を受けることができます。

※1 控除対象配偶者とは、所得金額が1,000万円以下の納税者の同一生計配偶者(所得金額が48万円以下の配偶者)をいいます。
なお、所得金額48万円以下の配偶者とは、配偶者のその年の収入が給与収入のみである場合には、(給与の)年収103万円以下の配偶者を指すこととなります。

※2 配偶者控除の適用が受けられないときでも、一定の要件を満たす場合には、納税者本人について1万円から38万円までの所得控除を受けるという制度が別で設けられています。こちらの控除は、配偶者特別控除といいます。

年末調整で、配偶者控除を受けるための手続き

 給与所得者が年末調整で配偶者控除(もしくは配偶者特別控除)の適用を受けるためには、次の手続きを行う必要があります。

①会社等に、その年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していること

②会社等に、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、「給与所得者の配偶者控除等申告書(※3)」を提出していること

 上記②の「給与所得者の配偶者控除等申告書」には、配偶者の本年中の給与収入の見積金額等を記載することとなります。

※3 給与所得者の配偶者控除等申告書は、年末調整の申告書のうち、「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」と記載された申告書に含まれています。

労働基準法上の休業手当と、配偶者控除の関係

 労働基準法では、使用者(会社)の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は(会社)、休業期間中、その労働者(従業員)に平均賃金の60%以上の手当(休業手当)を支払わなければならないと定められています。

 所得税法上、労働基準法上の休業手当(※4)については、所得税法上の非課税所得には該当せず、給与所得として所得税が課税されることとされています。

 今回のご相談の場合、奥様が受給された休業手当は、労働基準法上の休業手当として支払われたものとのことですので、所得税法上の非課税所得には該当せず、所得税が課税されるものと考えられます。

 したがって、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の収入金額等には、その休業手当の金額も含めて記載していただく必要があることとなります。

※4 労働基準法の休業手当は、労働基準法上の「災害補償」の規定にもとづくもの(休業補償)とは異なります。休業手当と災害補償では、所得税法上の取扱いも異なりますので、ご注意ください。

 

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