【会社設立後に知っておきたい税務】家賃が供託された場合の収益計上時期

家賃の増額請求の問題が決着していない段階で賃貸人が借家人から家賃として相当な額であるとして供託された供託金を受領する場合の家賃についての処理方法の説明です。

1.家賃の供託とは

 法務省によれば、「供託とは、金銭、有価証券などを国家機関である供託所に提出して、その管理を委ね、最終的には供託所がその財産をある人に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度」とされています。

 具体的には、土地・建物等の借主は、地主・家主等の貸主からの賃料の値上げ要求等を不当とする場合に、相当と認める額の賃料を提供し、その受領を拒否されたときは、相当と認める額の賃料を、供託所(法務局など)に「受領拒否」を供託原因とする「弁済供託」をすることにより、賃料債務を消滅させることができます。

 テナント側は大家の値上げ要求を認めなければ「家賃滞納」という事態が発生することとなりますが、テナント側が従前の家賃を供託することで、テナント側はその事態を避けられることになります。

2.家賃が供託された場合の収益計上時期

 所得税法上、家賃を不動産所得の総収入金額に算入すべき時期は、原則として、次の(1)、(2)の日によるものと定められています。

(1)契約又は慣習により支払日が定められているものについては、その支払日。支払日が定められていないものについては、その支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)。

(2)賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除きます。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。  ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)の日。

 賃貸借契約の存否そのものについての争いではなく、家賃の額についての争いが発生している場合は、上記(2)のとおり、たとえその供託された家賃をご相談者が実際に受け取っていなくても、供託されている従前の家賃相当額については、該当期間の不動産所得の総収入金額に算入されることとなります。

[参考]
 所基通36-5、国税庁所得税相談事例、法務省ホームページなど

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