会社設立は誰に頼むべき?依頼できる専門家についてわかりやすく解説

会社を設立するというのは、多くの方にとって大きな一歩ですよね。「何から始めればいいのか」「専門家に頼むべきなのか」と悩むことも多いのではないでしょうか。実際、会社設立には法律的な手続きや税務の知識が必要であり、個人で対応するにはハードルが高い部分もあります。しかし、適切な専門家に相談することで、スムーズに進めることができます。

この記事では、会社設立を成功させるために必要な知識や、相談できる専門家についてわかりやすく解説していきます。「どの専門家に何を頼めばいいのか」「費用はどれくらいかかるのか」など、皆さまの疑問に寄り添った内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

 

会社設立に必要な知識

会社を設立するにあたっては、事前に理解しておくべき基本的な知識や、会社の種類に関する選択が重要になります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

会社設立の基本知識

会社設立の第一歩は、法律や手続きに関する基礎知識を把握することです。会社設立において押さえておきたいポイントを以下にまとめました。

  • 会社設立の目的
    会社を設立する理由は人それぞれです。税制上のメリットを得るため、信用力を高めるため、あるいは資金調達をスムーズにするためなど、設立の目的を明確にしておきましょう。

  • 会社設立に必要な書類
    会社を設立するためには、定款(ていかん)、登記申請書、印鑑証明書などが必要になります。また、定款は電子定款として作成することで収入印紙代を節約できることも知っておくと良いでしょう。

  • 設立に関する主なステップ
    会社設立には、以下の流れが一般的です。

    1. ・定款の作成と認証
    2. ・出資金の払い込み
    3. ・法務局での登記申請
    4. ・税務署や市役所への届出

これらを一つ一つ丁寧に進めることが、会社設立成功への鍵となります。

 

会社の種類と選び方

会社にはいくつかの種類があり、設立する目的や事業内容によって最適な選択が異なります。ここでは、代表的な会社形態をご紹介します。

  • 株式会社
    最も一般的な会社形態で、株主から出資を受けて運営します。信頼性が高く、資金調達がしやすいのが特徴です。一方で、設立コストや維持費が高めになる傾向があります。

  • 合同会社
    比較的新しい形態の会社で、設立費用が低く抑えられるのが特徴です。また、出資者全員が経営に携わる仕組みのため、柔軟な運営が可能です。小規模事業者や個人事業主の法人化に適しています。

  • 合名会社・合資会社
    設立の自由度が高いものの、出資者が無限責任を負うことがあるため、あまり選ばれることは多くありません。

選び方のポイント
会社形態を選ぶ際には以下を考慮しましょう。

・資金調達のしやすさ

・信用力の必要性

・維持費用とコスト

・事業規模や目標

例えば、これから大規模な事業展開を目指す場合は株式会社を選び、低コストで始めたい場合は合同会社が適しているかもしれません。

 

誰に相談するべきか

会社設立をスムーズに進めるには、専門家の力を借りるのが賢明です。どの専門家にどのような依頼ができるのかを知っておくことで、効率的に設立手続きを進められます。ここでは、各専門家の役割と相談窓口の活用方法について解説します。

司法書士に依頼するメリットと流れ

司法書士とは?

司法書士は、主に会社設立における登記手続きのプロフェッショナルです。会社設立の際、法務局への登記申請は必須ですが、これを代理してもらうことができます。

メリット
  • ・登記手続きを正確に進められる
    登記に不備があると申請が受理されず、スケジュールが大幅に遅れる可能性があります。司法書士に依頼することで、そうしたリスクを回避できます。
  •  
  • ・時間と手間の節約
    複雑な手続きを任せられるため、他の重要な業務に集中できます。
  •  
  • 流れ
  1. 事前相談で設立予定の会社情報を共有
  2. 定款の作成と認証手続き
  3. 登記に必要な書類の準備と確認
  4. 法務局への登記申請
  5.  

費用は数万円~十数万円程度が目安ですが、登記内容や地域によって異なる場合があります。

 

行政書士を利用する場合のメリットやおすすめのケース

行政書士とは?

行政書士は、許認可申請や契約書作成などの手続きの専門家です。会社設立においても役立つ場面が多くあります。

メリット
  • 許認可の取得がスムーズに
    特に飲食業や建設業など、事業開始に許認可が必要な場合、行政書士が適切な申請をサポートしてくれます。
  • 定款作成のサポート
    電子定款の作成も可能で、印紙代を節約できます。

 

適しているケース
  • 許認可取得が必要な業種
  • 書類作成に不安がある場合

費用は数万円~10万円程度で、依頼内容によって変動します。

 

税理士が果たす役割とは

税理士の役割

税理士は、会社設立時の税務手続きや、設立後の経理・税務業務をサポートする専門家です。

設立時の主なサポート内容
  • 法人設立届出書の作成と提出
    設立後、税務署や市役所に必要な届け出を行う際、税理士に任せると安心です。
  • 節税対策のアドバイス
    設立時点から税制面での最適化を図ることで、長期的なコスト削減が期待できます。
  •  
税理士の選び方
  • 業種に詳しいかどうか
  • 設立後も継続してサポートが受けられるか

費用は初回相談無料の場合が多く、月額顧問料は会社規模に応じて異なります。

 

社会保険労務士の重要性

社会保険労務士とは?

社会保険労務士は、労務管理や社会保険手続きの専門家です。従業員を雇用する予定がある場合、早めに相談しておくのがおすすめです。

重要性
  • 雇用保険や社会保険の手続き代行
    従業員を雇用する場合、加入手続きが必要です。これを社会保険労務士に任せることで、労務トラブルを防げます。
  • 就業規則の作成
    トラブル防止のため、設立時に整備しておきたい書類です。

費用は手続き代行や相談内容によって異なりますが、数万円~10万円程度が一般的です。

 

商工会議所や市役所の相談窓口の活用

相談窓口の特徴

商工会議所や市役所では、会社設立に関する無料相談を受け付けている場合があります。

活用のポイント

費用を抑えたい場合に最適
無料で基礎的なアドバイスを受けられるため、専門家に依頼する前の情報収集として活用できます。

地元の補助金や助成金情報
地域特有の支援制度について教えてもらえる場合があります。

商工会議所や市役所の相談窓口を利用することで、コストを抑えながら適切な専門家を見つける第一歩にもなります。

 

会社設立にかかる費用

会社設立にはさまざまな費用が発生します。専門家に依頼する場合と自分で設立する場合、それぞれのコストを比較してみましょう。

各専門家への依頼にかかる費用比較

専門家に依頼することで手間を省くことができますが、その分費用がかかります。以下に、主な専門家に依頼する場合の費用目安をまとめました。

司法書士

司法書士は登記手続きの専門家であり、正確かつ迅速な対応が期待できます。

  • 費用の目安:
    登記手続き代行費用は 5万円~15万円 が一般的です。電子定款の作成を依頼した場合は、印紙代(4万円)が不要になるため、その分節約可能です。
  •  
行政書士

許認可が必要な事業の場合、行政書士が役立ちます。

  • 費用の目安:
    許認可申請や定款作成のサポートに 5万円~10万円 程度。特に飲食業などの許認可には個別料金がかかる場合があります。
  •  
税理士

設立後の税務手続きや節税対策を依頼する場合に必要です。

  • 費用の目安:
    初期の税務相談や法人設立届出書作成は 無料~5万円 程度。継続的な顧問契約を結ぶ場合は、月額 2万円~5万円 が相場です
社会保険労務士

従業員の雇用や労務管理に関する手続きを依頼できます。

  • 費用の目安:
    社会保険・雇用保険の加入手続き代行が 3万円~10万円 程度。就業規則の作成には別途料金が発生します。
  •  
合計費用の目安

各専門家に依頼する場合、すべてを任せると 20万円~40万円 程度になることが多いです。ただし、専門家を組み合わせて依頼することで、費用を調整することが可能です。

 

自分で設立する場合のコスト

自分で会社を設立する場合は、専門家への依頼費用を抑えられますが、その分手続きに時間と労力を費やす必要があります。主なコストを以下に示します。

会社設立に必須の費用
  • 定款認証費用:
    公証役場での定款認証に 約5万円(収入印紙代4万円+認証手数料1万円程度)がかかります。ただし、電子定款を利用すると収入印紙代は不要になります。

  • 登記申請費用:
    法務局での登録免許税として 15万円(合同会社の場合は6万円)が必要です。

  • 会社印鑑作成費用:
    法人印鑑セットの作成費用は 1万円~2万円 程度です。

  •  
その他の費用
  • 必要書類の作成にかかる時間と労力
    法律や税務の知識が必要となるため、正確に作業を進めるための学習コストも発生します。
  •  
合計費用の目安

自分で設立する場合の直接コストは 20万円前後 ですが、ミスによる手続きのやり直しや、時間のロスを考慮すると、最終的には専門家に依頼する場合とコストが大きく変わらないこともあります。

 

専門家に依頼する場合、自分で手続きを行う場合のどちらにもメリットとデメリットがあります。費用を重視するのか、時間と正確性を優先するのか、目的に応じて最適な選択をすることが重要です。次のセクションでは、会社設立の具体的な手続きと必要書類について解説します。

 

会社設立の流れと必要書類

会社設立をスムーズに進めるためには、事前準備と手続きの流れを正確に把握することが大切です。このセクションでは、設立前に準備すべき事項と必要書類、具体的な手続きの流れについて解説します。

設立前の準備と必要書類一覧

会社設立に向けて、以下の準備を進める必要があります。

1. 会社の基本情報を決める
  • 会社名(商号)
    他の会社と同一名称にならないよう、法務局の商号調査やインターネット検索で確認しましょう。
  • 本店所在地
    自宅やレンタルオフィスを利用する場合、住所が登記簿に公開される点に注意が必要です。
  • 事業目的
    設立後に行う予定の事業内容を具体的に記載します。将来予定している事業も含めると良いでしょう。
  • 資本金
    出資金額や出資者(株主)の構成を事前に決定します。
  •  
2. 必要書類を準備する
  • 定款
    会社の運営ルールを定めた書類で、公証役場での認証が必要です。電子定款の場合は印紙代が不要になります。
  • 印鑑証明書
    発起人(出資者)全員分の印鑑証明書を用意します。
  • 資本金払込証明書
    資本金を指定した銀行口座に払い込んだことを証明するための書類です。
  • 登記申請書
    法務局での会社登記に必要な書類です。
  •  
3. 印鑑の作成

会社設立には、法人印(実印)、銀行印、角印(認印)が必要です。登記手続きや金融機関での手続きに使用するため、事前に準備しておきましょう。

 

具体的な手続きの流れ

設立に向けた準備が整ったら、具体的な手続きを進めていきます。以下は一般的な流れです。

1. 定款の作成と認証
  • 定款の作成
    会社の基本ルールを記載した定款を作成します。電子定款の場合、専門家に依頼するとスムーズです。
  • 公証役場での認証
    作成した定款を公証役場で認証します。認証手数料として 約5万円 が必要です。
  •  
2. 資本金の払い込み
  • 定款認証後、発起人名義の銀行口座に資本金を振り込みます。通帳のコピーを払い込み証明として活用します。
  •  
3. 法務局での登記申請
  • 必要書類を準備し、法務局に会社設立の登記申請を行います。登録免許税は 株式会社の場合15万円(合同会社の場合6万円)です。
  •  
4. 税務署・市役所への届出

会社設立後、以下の届け出が必要です。

  • 法人設立届出書
    税務署や都道府県税事務所に提出します。
  • 給与支払事務所開設届出書
    従業員を雇用する場合に必要です。
  • 青色申告承認申請書
  • 節税メリットを得るために提出を検討しましょう。
  •  
5. 社会保険・労働保険の手続き

従業員を雇用する場合、社会保険や労働保険の加入手続きが必要です。社会保険労務士に依頼することで、手間を省くことができます。

会社設立の流れには多くの手続きが含まれますが、事前準備をしっかり行い、必要書類を揃えておくことでスムーズに進められます。不安な場合は、司法書士や行政書士といった専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

 

会社設立後のサポート

会社設立が完了した後も、さまざまな手続きや業務が待っています。設立後のスムーズな運営のためには、必要な手続きを適切に進めることと、継続的な専門家のサポートを受けることが重要です。

設立後に必要な手続き

会社設立後には、以下のような手続きが必要になります。これらをしっかりと把握し、計画的に対応しましょう。

1. 税務署や市区町村への届出
  • 法人設立届出書
    設立日から1ヶ月以内に税務署へ提出します。添付書類として、定款や登記事項証明書、印鑑証明書が必要です。
  • 青色申告承認申請書
    節税メリットを活かすため、設立後3ヶ月以内、または最初の事業年度終了日のいずれか早い方までに提出します。
  • 給与支払事務所開設届出書
    従業員を雇用する場合、設立後1ヶ月以内に提出が必要です。
  •  
2. 社会保険・労働保険の加入手続き
  • 健康保険・厚生年金保険
    従業員を雇用する場合、年金事務所に加入手続きが必要です。手続き期限は設立後5日以内が目安です。
  • 雇用保険・労災保険
    ハローワークでの手続きが必要で、従業員を1人でも雇用する場合は必須です。
  •  
3. 開業後の口座開設と事業運営の整備
  • 法人銀行口座の開設
    会社名義での取引を行うために、法人銀行口座を開設します。必要書類は登記事項証明書や印鑑証明書などです。
  • 事業に必要な契約手続き
    オフィス賃貸契約、電話回線やインターネットの開設などを行います。
  •  

継続的な専門家のサポート

設立後の手続きだけでなく、会社運営を安定させるためには、各分野の専門家から継続的なサポートを受けることが大切です。

税理士のサポート
  • 経理・税務業務の効率化
    税理士に会計帳簿の作成や税務申告を任せることで、経営に集中できます。
  • 節税対策のアドバイス
    法人特有の節税方法について適切な助言を受けられます。
  • 税務調査への対応
    税務署からの調査が入った際、税理士が対応してくれるため安心です。
  •  
社会保険労務士のサポート
  • 労務管理の整備
    就業規則の作成や労働契約書の整備など、従業員とのトラブルを未然に防ぐ体制を構築できます。
  • 労働保険や社会保険の更新手続き
    毎年の手続きや届出を代行してもらうことで、事務負担を軽減できます。
  •  
司法書士・行政書士のサポート
  • 登記内容の変更
    本店移転や役員変更などの登記が必要な場合、迅速に対応してもらえます。
  • 許認可の更新や新規取得
    事業拡大に伴う新たな許認可取得を支援してもらえます。
  •  
商工会議所や専門機関の活用
  • ビジネスマッチング支援
    地域の商工会議所を通じて、取引先やパートナー企業とのマッチングをサポートしてもらえます。
  • 補助金や助成金の情報提供
    最新の補助金情報をキャッチし、申請手続きを進める際に役立ちます。
  •  

会社設立後の手続きや運営には多くのサポートが必要ですが、専門家を適切に活用することで業務を効率化し、リスクを軽減できます。自社に合ったサポート体制を構築し、安定した経営基盤を築きましょう。

 

まとめ

会社設立は大きな一歩であり、人生の中でも重要な決断のひとつです。設立までにはさまざまな知識や手続きが必要であり、専門家のサポートを受けることでスムーズに進められる部分も多くあります。会社設立にあたっては、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  1. 設立前の準備をしっかりと行う
    会社の基本情報や必要書類を事前に整えることで、手続きが円滑に進みます。

  2. 専門家の力を上手に活用する
    司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士など、それぞれの専門分野に応じて適切なサポートを依頼しましょう。

  3. 設立後の運営体制も整える
    税務や労務の管理、登記変更、許認可の更新など、設立後も専門家の継続的なサポートを受けることで安心して事業を進められます。

もし、「どの専門家に相談すべきかわからない」「費用が心配」「手続きに自信がない」とお悩みでしたら、山野淳一税理士事務所の無料相談をご利用ください。

当事務所では、会社設立に必要な手続きや資金計画、節税対策など、経営のスタートをしっかりサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください!

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