非常勤の役員報酬について

非常勤の役員報酬についてどれくらい支払ったらいいのか、多くの方が興味を持っているようなので、別の判決からも考察してみたいと思います。平成23年2月24日に東京高等裁判所において棄却確定したものです。

この事案は、しょうちゅうの製造及び販売をする同族会社において、社長の奥様の役員報酬を3年間で800万円、2400万円、2400万円として損金算入していました。会社側は、役員として従業員や社長の精神的サポート、接待業務等に従事している。経営上のサポートを行う者の業務として評価されるべきものであり、仮にこれに類似する業務を行う者を雇用するとすれば、その費用は莫大なものとなるという主張で控訴を行っていました。

写真:法廷内の様子

しかし、高裁おいて、奥様の接待業務等については、乙がこれに従事した時間が極めて少なく、その具体的内容が必ずしも明らかでないことからすれば、これによる営業上の効果が大きいとしても、控訴人の常勤の役員としての業務に該当するとはいえない。

従業員や社長の精神的サポートをいう部分については、乙が行っていたという精神的サポート等の具体的内容、そのために行った具体的業務に要した時間や日数、その業務が会社の業務執行に与えた影響の程度等は何ら明らかでなく、奥様のサポート業務の具体的内容等を明らかにしていないから、仮
に何らかのアドバイスのようなものを行っていたとしても、それをもって常勤の役員としての業務に従事していたと認めることはできない。ということになりました。

また、奥様の役員報酬のうち、毎月20万円程度は銀行振込がされていたが、残りは夫である社長が現金で受け取っており、乙は給与明細書も受け取っていないだけでなく、社長は、奥様の役員報酬が月額200万円に増額されたころから、銀行振込以外の残りを生活費のほか、株式、投資信託、金及びプラチナ等に投資していました。

税務署のほうで適正報酬額とされた月額10万円は、これが社会的な実態とかけ離れたものということはできない。といった結論にいたっています。

やはり、勤務実態があまりない非常勤役員としての相場は月額10万円という結論が出たのでした。

 

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