被相続人の行っていた不動産の貸付事業が小規模宅地の特例の特定貸付事業に該当されたケース

5棟10室基準に満たない不動産貸付につき、事業に該当するとして小規模宅地等の特例の適用が認められた事例

こちらはTAINS コードZ209-7545からの引用になります。

概要は以下になります。

 本件は、被相続人が所有する土地上に建築された区分所有権付5階建ビルについて、貸事務所として賃貸していた家屋に対応する部分の土地につき、旧措置法69条の3に規定する小規模宅地等の特例が適用できるかが争われた事例です。
1・2階は被相続人所有の貸事務所、3階は相続人である妻所有の貸事務所、4・5階は被相続人らの居住用として利用され、各階の部屋はどれも110㎡程度でした。また、被相続人もその妻もこれ以外の貸付物件はありませんでした。

 課税庁は、不動産所得が事業といい得るかどうかは、事業所得と同程度の役務提供があるか否かであり、形式的には5棟10室基準によるべきであると主張しました。

 地裁はまず、事業の概念は所得税法上のものと同一の意義であるとした上で、所得税法上は事業の意義について一般的な定義規定を置いていないため、社会通念に従ってこれを判断するほかはないとし、営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企業遂行性の有無、その取引に費やした精神的肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断するとしました。
 さらには、専ら貸付規模の大小をもって判断しなければならないわけではなく、また、5棟10室程度の規模に至らない場合でも事業に当たる可能性はあるとして、本件については事業と判断し、特例の適用が認められました。なお、妻所有の3階部分についても、被相続人所有のものと管理等が一体であり同一生計であるため、同様に事業に該当すると判断し特例適用を認めています。

措置法69条の3(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)の適用につき、5階建てビルの1~3階部分の貸付けは、納税者が賃貸料を返済の原資とする借り入れによりビルを建築していること、当初よりその貸付を継続することを予定されていたこと、その他、不動産貸付に費やした精神的肉体的労力の程度、人的物的設備等を総合勘案すれば、社会通念上事業といい得るものと解すべきであるとして納税者の主張が認められています。

 

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