設備投資を中古機械にすることで実現できる節税方法

企業が競争力を維持・向上させるためには、設備投資が欠かせません。生産効率の向上や品質の改善、コスト削減を目的として設備投資を行うことで、企業の成長を促進できます。一方で、新品の機械設備への投資は多額の資金を必要とし、減価償却による節税効果が得られるまでに時間がかかることが一般的です。

そこで注目されるのが「中古機械」への投資です。中古機械を導入することで、初期投資の抑制に加え、減価償却期間の短縮や特別償却の適用といった節税効果が期待できます。ここでは、中古機械を利用した設備投資における節税方法について詳しく解説します。

 

1. 設備投資における節税の基本

設備投資を行った場合、その取得価額は「減価償却資産」として会計上計上され、耐用年数に応じて費用化(減価償却)されます。減価償却により取得価額を数年にわたって費用として計上することで、課税所得が圧縮され、法人税負担が軽減されます。

しかし、新品の機械設備の場合、法定耐用年数が長いため、減価償却に時間がかかることがあります。これに対し、中古機械への投資は次のような節税効果があります。

 

2. 中古機械への設備投資で得られる節税効果

(1) 耐用年数の短縮

新品設備の耐用年数は「法定耐用年数」に従って決定されますが、中古機械の場合、法定耐用年数に基づく「簡便法」を使用して耐用年数を短縮することが可能です。

✅ 耐用年数の計算式(簡便法)
以下の計算式により、中古機械の耐用年数を決定します:
{(法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 20%}

・法定耐用年数:新品時の法定耐用年数
・経過年数:実際に使用された年数
・20%ルール:経過年数の20%を加えることで、実態に即した耐用年数を考慮

<例>
・本来法定耐用年数10年の中古機械(5年使用済み)を購入
➡️ 耐用年数は次のように計算可能 (10年−5年)+(5年×20%)=5年+1年=6年
→ 新品よりも耐用年数が短くなり、減価償却期間が短縮!

➡️ 節税効果
・短期間で減価償却を完了することができる
・減価償却費を早期に計上することで課税所得を圧縮
・節税効果が早期に実現

 

(2) 即時償却または特別償却の適用

一定の条件を満たす場合、中古機械であっても特別償却や即時償却が適用可能です。

・中小企業経営強化税制
o 資本金1億円以下の中小企業が対象
o 生産性向上に資する機械設備を取得した場合
o 購入価額の100%即時償却または10%税額控除が可能

・中小企業投資促進税制
o 中古機械も対象
o 特別償却30%または税額控除7%

 

(3) 購入価格の低下による節税効果

中古機械は新品よりも購入価格が低いため、初期投資額を抑制できます。

・取得価格が低いため、減価償却費の発生額が低くなる
・投資額に対する減価償却費の回収が早くなる

 

3. 節税効果の具体例

✅ 【例】法定耐用年数10年の機械を新品購入(価格500万円)
・同じ機械を5年使用後に中古で購入(価格300万円)

項目 新品購入 中古購入
購入価格 500万円 300万円
耐用年数 10年 6年
減価償却費(初年度) 50万円(500万円 ÷ 10年) 50万円(300万円 ÷ 6年)
法人税負担減少額(30%) 15万円 15万円
節税効果 15万円 15万円

 

4. 節税を最大化するためのポイント

・状態の良い中古機械を選定
・耐用年数の短縮を正確に適用
・税制優遇措置を活用

 

5. 注意点とリスク

・過剰な減価償却の計上 → 節税目的の不正な減価償却は税務調査で否認されるリスク
・中古機械の品質リスク → 性能や寿命を十分に確認
・税制改正の影響 → 税制の変更による節税効果の減少

 

6. まとめ

中古機械への設備投資は、購入価格の低減、耐用年数の短縮、特別償却の適用などにより、強力な節税効果が得られます。特に、減価償却費の増加による課税所得の圧縮効果は大きく、キャッシュフローの改善にもつながります。中古機械の導入時には、耐用年数や税制優遇措置を正確に把握し、適切な設備投資計画を立てることが重要です。

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