役員報酬の損金計上を使った節税方法
役員報酬を適切に損金計上することで、法人税の課税所得を抑え、結果として税負担を軽減できます。
特に中小企業では、代表取締役や役員への報酬を適切に設定・支払うことで、法人税・所得税・住民税をバランスよく抑えることが可能です。また、報酬の金額や支払い方法を適切に管理することで、合法的かつ効果的な節税を実現できます。
ここでは、役員報酬の損金計上の仕組みや具体的な節税方法について、詳しく解説します。
1. 役員報酬の基本的な仕組み
役員報酬とは、会社の取締役や執行役、代表取締役に支払われる報酬や給与のことです。役員報酬には以下のような種類があります。
役員報酬の種類
・定期同額給与:毎月同額で支給される報酬
・事前確定届出給与:あらかじめ支給時期と金額を決定して届け出る報酬
・利益連動給与:業績や利益に応じて支払われる報酬
中小企業の場合は「定期同額給与」と「事前確定届出給与」が節税手段として重要になります。
役員報酬の損金計上のポイント
・役員報酬は法人税の課税所得を直接圧縮できる
・法人が支払った役員報酬は、損金(経費)として計上可能
・損金計上が認められる役員報酬は、税務上の要件を満たしている必要がある
2. 役員報酬の損金計上による節税の仕組み
(1) 法人税の課税所得を圧縮
役員報酬は、法人税を算出する際に「損金(経費)」として扱われます。したがって、適切に役員報酬を設定することで、法人税の課税対象となる利益を減らすことができます。
【例】
・売上:5,000万円
・経費:3,000万円
・役員報酬:1,000万円
法人税課税所得
5,000万円 −(3,000万円 + 1,000万円)= 1,000万円
法人税実効税率(33%)
1,000万円 × 33% = 330万円
➡️ 役員報酬を500万円増額した場合:
5,000万円 −(3,000万円 + 1,500万円)= 500万円
法人税実効税率(33%)
500万円 × 33% = 165万円
➡️ 法人税負担額が165万円減少
(2) 法人税と所得税・住民税のバランス最適化
法人が役員報酬を支払うことで法人税が減少しますが、役員個人には所得税や住民税の負担が発生します。
👉 ポイント
・役員報酬を高くしすぎると、役員個人の所得税や住民税の負担が増える
・役員報酬を低くしすぎると、法人税の負担が増える
➡️ 法人税・所得税・住民税の合計負担が最小になる報酬額を設計することが重要
(3) 役員報酬を退職金として支給(退職所得控除)
役員報酬の一部を「退職金」として支給することで、退職所得控除を適用して節税が可能です。
退職所得の計算式
退職所得 =(受取額 − 退職所得控除)× 1/2
加入年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年以上 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
【例】
・勤続30年
・退職金3,000万円
退職所得控除
800万円 + 70万円 ×(30年 − 20年)= 1,500万円
課税対象退職所得
(3,000万円 − 1,500万円)× 1/2 = 750万円
➡️ 大幅な節税が可能
(4) 事前確定届出給与の活用
「事前確定届出給与」を活用することで、損金計上が可能になります。
・定期同額給与以外で、ボーナスなどを損金に含める
・事前に金額と支払い時期を決定して届け出る必要がある
➡️ 利益が多く出た年にボーナスを設定することで、課税所得を圧縮可能
(5) 役員報酬と社会保険料のバランス
役員報酬を増やすと、社会保険料も増加します。
・役員報酬を増やすことで法人税が減少
・しかし、社会保険料が増加すると、結果的に節税効果が減少する可能性がある
➡️ 役員報酬額を調整し、法人税と社会保険料のバランスを取る
3. 役員報酬に関する税務上の注意点
役員報酬を損金に計上する際には、以下の要件を満たす必要があります。
✅ 定期同額給与:毎月一定額で支給
✅ 事前確定届出給与:事前に届け出た金額で支給
✅ 過剰な報酬は否認される可能性
4. まとめ
役員報酬の損金計上は、法人税と所得税・住民税のバランスを最適化するために重要な節税手段です。
✅ 法人税の課税所得を直接減少させる
✅ 定期同額給与・事前確定届出給与を活用する
✅ 退職金として支給すれば退職所得控除を利用可能
✅ 社会保険料の負担増加とのバランスを取る
適切な役員報酬の設定は、法人税と所得税の負担を最小限に抑える効果があります。税理士と相談しながら、最適な報酬額を設計しましょう。

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