未払い費用の計上を利用した節税方法

未払い費用とは決算日までに発生しているものの、まだ支払いが行われていない費用のことをいいます。例えば、従業員への給与やボーナス、外注費、利息、光熱費などが未払い費用に該当します。未払い費用は、発生主義の原則に基づき、実際に支払いが行われていなくても、決算時に費用として計上することが可能です。この仕組みを利用することで、課税所得を圧縮し、節税効果を得ることができます。

1. 未払い費用とは

1-1. 発生主義の原則

企業会計では「発生主義」の考え方が採用されています。これは、取引や経済活動が発生した時点で、収益や費用を計上するという考え方です。
例えば、12月分の給与が翌年1月に支払われる場合でも、12月末に給与を「未払い費用」として計上すれば、当期の費用として扱うことが可能です。

1-2. 未払い費用の具体例

未払い費用には以下のような項目があります。
・未払い給与・賞与:従業員への給与や賞与の未払い分
・未払い社会保険料:年金事務所に支払う未払い分
・未払い利息:借入金などの利息で未払いのもの
・未払い外注費:業務委託先への報酬で未払いのもの
・未払い水道光熱費:公共料金の未払い分
・未払い通信費:電話代やインターネット使用料など
・未払い広告費:広告宣伝活動に関連する費用で未払いのもの

これらの費用は、支払いが翌期に行われる場合でも、発生していることが明確であれば決算時に計上することが可能です。

2. 未払い費用の計上による節税効果

未払い費用を計上することで、課税所得を圧縮し、法人税の支払いを軽減できます。これにより、企業のキャッシュフローを改善し、資金繰りをスムーズにすることが可能となります。

2-1. 節税効果の仕組み

節税効果が生じる理由は、以下の通りです。
1. 費用の計上により課税所得が減少
→ 未払い費用を計上することで、法人税や住民税、事業税などの課税対象となる所得が減少します。
2. 支払いが翌期になることでキャッシュアウトのタイミングを後ろ倒し
→ 税金支払いを翌期以降に先延ばしにできるため、資金繰りに余裕が生まれます。
3. 実際の支払いは翌期でも、費用は当期に計上可能
→ 会計上の費用を前倒しして計上することで、利益を圧縮できるため法人税を低減可能。

2-2. 節税の具体例

例えば、以下のようなケースを考えます。
・3月決算の企業が、3月末に従業員へのボーナスとして1,000万円を支給する予定
・実際の支払いは4月になる
・3月末に「未払い費用」として計上

この場合、未払いボーナスを費用として3月期に計上することで、課税所得を1,000万円減額できます。
・法人税率が30%の場合:
1,000万円 × 33% = 330万円 の法人税削減が可能

このように、未払い費用を計上することで、課税所得が減少し、結果的に税金負担が軽減されます。

3. 未払い費用計上における注意点

3-1. 発生時期の明確化

・費用が「発生していること」が条件
・単なる見込みや予定ではなく、実際に取引が成立している必要がある

3-2. 必要書類の整備

・未払い費用を正しく計上するために、以下の書類を用意しておく
 o 契約書
 o 請求書
 o 給与明細や支払い予定書
 o 領収書

3-3. 節税目的の過剰な未払い費用計上はNG

・実際に発生していない費用や、金額を過大に計上することは税務上認められない
・税務調査時に不正と見なされる可能性がある

3-4. 税務調査への対応

・未払い費用が適正に計上されているかどうか、税務調査で確認される可能性がある
・事実関係を証明できる資料を整備しておく必要がある

4. 未払い費用を活用した節税のポイント

未払い費用を活用して節税するためには、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。
✅ 費用の発生時期を正確に判断
✅ 会計ルールと税法の整合性を確認
✅ 未払い費用の対象となる費用を把握
✅ 支払いの根拠となる契約書や証明書を整備
✅ 税務調査への対応を想定した記録保持

5. まとめ

未払い費用の計上は、企業の税負担を軽減し、キャッシュフローを改善する効果的な方法です。発生主義に基づき、未払い給与や外注費などを適正に計上することで、課税所得を減少させ、法人税の支払いを抑えることが可能です。ただし、税務上のルールを遵守し、不正な計上を避けることが重要です。

未払い費用の計上を適切に行うことで、短期的な節税効果だけでなく、長期的な資金繰りや経営戦略の安定にもつながります。

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