消耗品を決算前に購入して節税する方法
利益が想定より大きくなると法人税の負担が増加してしまいます。そこで、決算前に消耗品を購入することで、経費を増やし課税所得を減少させることで節税を図る方法があります。消耗品は購入したタイミングで費用として計上できるため、適切に処理すれば当期の法人税を軽減する効果が期待できます。
ここでは、決算前に消耗品を購入して節税する仕組みや注意点、具体的な手続きについて詳しく解説します。
1. 消耗品とは
消耗品とは、法人が事業活動のために使用するものであり、以下のいずれかの条件を満たすものを指します。
・使用可能期間が1年未満
・取得価額が10万円未満(または少額減価償却資産の特例で30万円未満)
消耗品の例として、以下のようなものがあります。
消耗品の種類 | 具体例 |
---|---|
事務用品 | コピー用紙、ボールペン、インク、ホチキスなど |
パソコン関連用品 | マウス、キーボード、USBメモリ、LANケーブルなど |
工場や作業現場の消耗品 | 作業手袋、工具、部品、潤滑油など |
医療用品 | マスク、手袋、消毒液など |
その他 | カレンダー、ティッシュ、名刺、清掃用具など |
消耗品は、購入して事業で使用することで費用計上でき、利益を圧縮することが可能です。そのため、決算前に購入することで法人税負担を軽減できます。
2. 消耗品購入を利用した節税の仕組み
2-1. 消耗品は「購入時」に費用計上できる
消耗品の最大の特徴は、購入した時点で費用として計上可能な点です。
通常、設備や機械などの固定資産は減価償却により数年にわたって費用計上しますが、消耗品は購入した会計期間で一括計上できるため、課税所得を即時に減少させることが可能です。
【例】
・法人税率:33%
・購入金額:50万円(コピー用紙、事務用品など)
➡ 50万円を消耗品費として計上
➡ 法人税負担軽減効果:50万円 × 33% = 16.5万円
2-2. 課税所得を減らして法人税を節税
消耗品購入により費用計上することで課税所得が減少すると、法人税額が減ります。
課税所得の計算式
課税所得=売上−売上原価−販管費−減価償却費−その他の経費
【例】
・売上:1,000万円
・経費(消耗品費なし):600万円
・課税所得=1,000万円-600万円=400万円
・法人税率33%の場合 → 法人税:400万円 × 32% = 132万円
➡ 決算前に消耗品100万円を購入 → 消耗品費として費用計上
・課税所得=400万円-100万円=300万円
・法人税額=300万円 × 33% = 99万円
➡ 節税効果:33万円
2-3. 節税効果に即効性がある
消耗品の購入は費用計上のタイミングが「購入した時点」であるため、即効性があります。決算直前であっても効果を発揮します。
・購入日を決算期末の数日前にしても問題なし
・クレジットカードで支払いの場合、支払いは翌期であっても購入のタイミングで経費にすることが可能
・ただし、「購入した証拠(領収書など)」が必要
3. 消耗品購入を利用した節税効果の具体例
✅ 【ケース1】 事務用品の購入
・会社で使用する事務用品を30万円分購入
・法人税率33%
➡ 消耗品費として30万円を費用計上
➡ 節税効果:30万円 × 33% = 9.9万円
✅ 【ケース2】 作業用品の購入
・工場で使用する作業用手袋や潤滑油を50万円分購入
・法人税率33%
➡ 費用計上:50万円
➡ 節税効果:50万円 × 30% = 15万円
✅ 【ケース3】 決算直前に大量購入
・決算日の1週間前にパソコン関連用品(ケーブル、マウス、キーボード)を20万円分購入
・法人税率30%
➡ 費用計上:20万円
➡ 節税効果:20万円 × 30% = 6万円
4. 消耗品購入による節税を行う際の注意点
🔸 在庫として処理される可能性がある
消耗品購入後に未使用の場合、「貯蔵品」として資産計上が必要になる可能性があります。
・使用した場合 → 「消耗品費」として費用計上可能
・未使用の場合 → 「貯蔵品」として資産扱い(節税効果なし)
➡ 決算前に必ず一部でも使用しておくことが重要
🔸 明細や領収書の管理
・消耗品購入時の領収書や請求書を必ず保管
・領収書に「購入日」「購入先」「金額」が明記されていることを確認
🔸 一度に大量購入すると税務調査の対象になる可能性
・必要性がないにもかかわらず大量に購入すると、税務署に否認される可能性がある
・適正な数量や範囲を考慮することが重要
5. まとめ
消耗品を決算前に購入して節税を図る方法は、即効性があり手軽に行える節税手段です。消耗品は購入した時点で費用として計上できるため、課税所得を圧縮し法人税を減少させることが可能です。ただし、過剰な在庫や税務調査で否認されるリスクを避けるため、実際に使用する見込みのある範囲で購入し、適切な管理を行うことが重要です。
決算前に適正な消耗品購入を行い、効果的な節税を実現しましょう。

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