社内規定の整備のための外注費を利用した節税方法

企業が社内規定を整備する際には、専門知識や法的な対応が求められるため、外部の専門家やコンサルタントに依頼することが一般的です。この外注費は、節税の観点からも重要な役割を果たす可能性があります。ここでは、社内規定整備に関連する外注費をどのように活用して節税を図ることができるのかについて、具体的なポイントを詳しく解説します。

1. 社内規定整備における外注費とは

社内規定の整備とは、就業規則、給与規程、経費精算規程、コンプライアンス規程、ハラスメント防止規程など、企業運営に必要なルールやガイドラインを文書化・体系化することを指します。これに伴う業務は以下のようなものが含まれます。
・現行規定の見直し・改訂
・新規規定の策定
・労働基準法や会社法などの法改正への対応
・社内教育・従業員への周知・トレーニング
・従業員アンケートやヒアリング

これらの作業を内製化するには、相応の人員や時間が必要になるため、多くの企業では外部の専門家(社労士、弁護士、コンサルタントなど)に外注しています。この際に発生する外注費は、会計上「経費」として計上可能であり、結果的に節税効果を得ることが可能です。

2. 外注費を経費計上するメリット

(1) 法人税の課税所得を圧縮

外注費を費用として計上することで、法人税の課税所得を減少させることが可能です。法人税は、課税所得に対して課されるため、外注費を計上することで課税所得が減少し、結果として法人税の納税額が減少します。

〈具体例〉
・課税所得:1,000万円
・外注費:100万円
→ 課税所得=1,000万円 − 100万円=900万円
→ 法人税率33%の場合
→ 法人税額=1,000万円 × 33%=330万円 → 297万円に減少
節税効果=33万円

(2) 消費税の仕入税額控除

外注費に消費税が含まれている場合、これを「仕入税額控除」として処理することが可能です。
例えば、外注費が110万円(消費税10%込み)の場合、消費税部分の10万円を控除可能となります。

〈具体例〉
・外注費(消費税込み):110万円
→ 消費税部分:10万円
仕入税額控除:10万円

3. 外注費として計上する際の留意点

(1) 業務委託契約書の締結

外注費を経費計上するためには、業務委託契約書を締結し、取引の実態を明確にしておく必要があります。契約書には以下の内容を記載します。
・業務内容
・業務範囲
・契約期間
・支払い条件
・業務完了の定義

契約書が曖昧だと、税務調査で「外注費」として認められないリスクがあるため注意が必要です。

(2) インボイス制度への対応

2023年10月から開始されたインボイス制度により、仕入税額控除を適用するためには適格請求書(インボイス)の発行が必要です。外注先に対してインボイス対応の有無を確認し、必要に応じて請求書の形式を見直すことが重要です。

4. 節税効果を最大化するためのポイント

(1) 支払時期を調整

決算期中に外注費を支払うことで、当期の課税所得を圧縮可能です。

(2) 外注先の選定を慎重に行う

報酬が高額な外注先を利用すると、節税効果よりもコスト増が懸念されるため、コストパフォーマンスを考慮して外注先を選定します。

(3) 助成金の活用

社内規定のうち就業規則を策定すると助成金がもらえる場合があります。また、他の助成金を申請するにあたっても社内規定が整備されている必要があります。助成金を活用することによって、経費をおさえつつ整備することも可能です。

5. まとめ

社内規定の整備に伴う外注費は、経費計上による課税所得の圧縮、消費税の仕入税額控除といった形で効果的な節税につながります。特に法人税率が33%の場合、外注費100万円の計上で33万円の法人税負担が減少するため、大きな節税効果が期待できます。業務委託契約書やインボイス制度への対応を適切に行うことで、税務調査時のリスクを回避しつつ、最大限の節税効果を享受することが可能です。

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