小規模企業共済を使った節税方法
小規模企業共済は、個人の所得税負担を軽減しながら将来の退職金を積み立てることができる強力な節税手段です。
小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構が運営する国の制度であり、個人事業主や小規模企業の役員が安心して事業を続けられるように、退職金の積み立てを支援することを目的としています。この制度を適切に活用すれば、所得税・住民税の負担を軽減しながら老後の資金を確保することが可能です。
ここでは、小規模企業共済の仕組みや具体的な節税効果、注意点を詳しく解説します。
1. 小規模企業共済とは?
小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の経営者が将来の廃業や退職に備えて積み立てるための「退職金積立制度」です。
この制度に加入し、毎月一定額を積み立てることで、将来の廃業・退職時に共済金を受け取ることができます。
小規模企業共済の特徴
・掛金は全額が所得控除の対象
・共済金の受け取り時には退職所得扱いまたは公的年金等扱いとなり、税制上の優遇を受けられる
・積み立てた資金は、必要に応じて低金利で貸し付けを受けることも可能
加入条件
項目 | 内容 |
---|---|
対象者 | 個人事業主、法人の役員(常勤)など |
掛金額 | 月額1,000円~7万円(500円単位で自由に設定可能) |
掛金総額 | 最大で年84万円 |
所得控除 | 掛金全額を「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除可能 |
受取時の課税区分 | 退職所得 or 公的年金等(受取方法によって異なる) |
共済金の受取額 | 納付期間に応じて計算(20年以上で100%受取) |
2. 小規模企業共済を利用した節税の仕組み
小規模企業共済の最大のメリットは、「掛金全額が所得控除の対象になる」という点にあります。
これにより、所得税・住民税の課税所得を直接減額できるため、結果として税負担が軽減されます。
さらに、将来の共済金受取時にも税制上の優遇措置が適用されるため、トータルでの節税効果が大きくなります。
① 掛金全額所得控除による節税
小規模企業共済に支払った掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除されます。
👉 節税戦略
・利益が多く出た年に、上限である月額7万円(年84万円)を積み立てる
・課税所得が減少 → 所得税・住民税の負担が軽減
【例】
・課税所得:800万円
・小規模企業共済に月額7万円(年間84万円)積み立てた場合
課税所得の圧縮
800万円 ー 84万円 = 716万円
所得税(税率20%)・住民税(税率10%)の節税効果
・所得税:84万円 × 20% = 16.8万円
・住民税:84万円 × 10% = 8.4万円
➡️ 年間25.2万円の節税効果
② 将来の退職所得控除を利用した節税
共済金を受け取る時に、「退職所得扱い」として受け取る場合、退職所得控除が適用されます。
退職所得の計算式
退職所得 =(受取額 − 退職所得控除)× 1/2
退職所得控除は、加入年数に応じて次のように決定します。
加入年数:退職所得控除額
20年以下:40万円 × 加入年数(最低80万円)
20年以上:800万円 + 70万円 ×(加入年数 − 20年)
【例】
・加入期間30年
・受取額1,500万円
退職所得控除
800万円 + 70万円 ×(30年 − 20年)= 1,500万円
退職所得課税額
(1,500万円 − 1,500万円) × 1/2 = 0円
➡️ 税金ゼロ
③ 受け取り方法を年金方式にすれば公的年金等控除を適用
共済金の受け取り方法を「分割(年金)方式」にすると、公的年金等控除が適用されます。
年齢:公的年金等控除額
65歳未満:60万円
65歳以上:110万円
➡️ 年金形式で受け取ることで課税所得をさらに抑えることが可能
④ 資金繰り対策(貸付制度)
積み立てた掛金の範囲内で、低金利での貸付を受けることも可能です。
・事業資金が必要になった場合、貸付で対応可能
・事業継続に役立つ → 節税効果を損なわず資金を確保
3. 小規模企業共済の注意点
小規模企業共済を利用する際には、以下の点に注意する必要があります。
✅ 掛金は最低でも6ヶ月以上納付が必要
✅ 早期解約すると元本割れのリスクがある
✅ 受取時に課税所得となるため、受取タイミングを考慮
✅ 受け取り方法によって税制が異なる
4. まとめ
小規模企業共済を活用することで、所得税・住民税の節税と将来の資金確保が同時に可能になります。
✅ 掛金全額を所得控除できる
✅ 将来の共済金受取時に退職所得控除や公的年金等控除が適用される
✅ 解約や貸付も可能で資金繰りに役立つ
小規模企業共済は、個人事業主や経営者が無理なく節税しながら、将来のリスクに備えるために最適な制度です。適切に利用すれば、資金繰りと税負担の両面で大きな効果を得ることができます。

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