【会社設立後に知っておきたい税務】支援対象が拡大された持続化給付金の所得税法上の取扱い 事例1

[相談]

 フリーランスの音楽教室講師として活動しています。
 毎年の所得税の確定申告では、その活動によって得た収入を雑所得として申告していました。
 さて、このたび、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、講師を務めていた業務委託先の音楽教室がすべて休業し、収入が大きく減少したことから、持続化給付金の申請をすることになりました。
 そこでお聞きしたいのですが、私が持続化給付金を受給した場合、その持続化給付金は所得税法上どのように取り扱われるのでしょうか。
 なお、上記の収入以外の収入はありません。

[回答]

 ご相談の場合、持続化給付金を受給されたときは、所得税法上の雑所得として取り扱われます。

[解説]

1.持続化給付金の支給対象者の範囲の拡大

 政府は、令和2年(2020年)5月から、新型コロナウイルス感染症拡大により特に大きな影響を受けた中小法人・個人事業者に対して、法人は最大で200万円、個人事業者は最大で100万円の持続化給付金を支給しています。

 令和2年(2020年)6月29日からはその支給対象者の範囲が拡大され、これまでは対象とされていなかった「主たる収⼊を雑所得・給与所得で確定申告した個⼈事業者等」が新たに支給対象となりました。

 その「主たる収⼊を雑所得・給与所得で確定申告した個⼈事業者等」の主な要件は、下記のとおりです。

  •  雇用契約によらない業務委託契約等に基づく収入であって、雑所得・給与所得として計上されるものを
  •  主たる収入として得ており、今後も事業継続する意思があること
  •  令和2年(2020年)の対象月の収入が昨年の月平均収入と比べて50%以上減少していること
  •  平成31年・令和元年(2019年)以前から、被雇用者又は被扶養者ではないこと

 また、申請については、令和元年(2019年)分の所得税確定申告書の第⼀表の控えなど、所定の書類のデータを、令和2年(2020年)6⽉29⽇から令和3年(2021年)1⽉15⽇までの間に持続化給付⾦事務局に提出することによって行うこととされています。

※所得税確定申告書「第一表」の「収入金額等」の「事業」欄に記載がある人(事業収入が0円でない人)は、「主たる収⼊を雑所得・給与所得で確定申告した個⼈事業者等」としてではなく、「(通常の)個人事業者等」として申請することとされています。

2.主たる収入を雑所得で確定申告した個人に支給される持続化給付金の、税務上の取扱い

 国税庁は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴って、個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱いを公表しています。

 その中で、雑所得向けに支給された持続化給付金については、所得税法上の「雑所得」に区分されることが示されています。

 このため、今回のご相談の場合において持続化給付金を受給されたときは、下記の算式によって計算した雑所得の金額を、他の所得と合算し、所得税額を計算することとなります。

<雑所得(公的年金等以外のもの)の金額の計算式>
総収入金額-必要経費=雑所得(その他の雑所得)の金額

 

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