仮想通貨雑所得と予定納税
[相談]
私は昨年、仮想通貨取引で5,000万円の所得を得ました。その所得については雑所得として確定申告する予定ですが、最近、ネット上で「仮想通貨取引で高額な所得を得た場合、予定納税のことも考慮しないといけないのでは」という情報を見ました。
その意味がよく分からなかったので自分で調べてみたところ、予定納税というのは、7月と11月に、3月に確定申告した所得税額を基準として、その3分の2相当の税額を納付する制度であると知りました。
3月の確定申告で多額の納税をした直後に、また多額の納税をしなくてはならないのかと、大変困惑しています。ネットの情報のとおり、私は7月と11月に所得税の予定納税をしなくてはならないのでしょうか。
なお、私の昨年の所得は、上記の仮想通貨取引による雑所得だけで、他の所得はありません。
[回答]
ご相談の場合は、所得税の予定納税を行う必要はありませんので、ご安心ください。
[解説]
1.所得税の予定納税とは
所得税の予定納税とは、前年分の所得金額や税額(その年の5月15日現在において確定しているもの)などを基に計算した金額(以下「予定納税基準額」といいます)が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付しなければならないという制度のことです。
具体的には、予定納税基準額の3分の1の金額を7月1日から7月31日までにまず納付し(第1期分)、同じく3分の1を11月1日から11月30日までに納付(第2期分)します。
つまり、3月の確定申告が終わってから次の確定申告までの間に、予定納税基準額の3分の2を納付することになります。
2.予定納税基準額とは
予定納税基準額とは、原則的には次の①から②を控除した金額をいいます。
①前年分の課税総所得金額に係る所得税の額
②前年分の課税総所得金額の計算の基礎となった各種所得につき源泉徴収をされた、又はされるべきであった所得税の額
ただし、上記①の「課税総所得金額に係る所得税の額」の計算を行うにあたっては、譲渡所得の金額・一時所得の金額・雑所得の金額など一定の所得はなかったものとみなして計算することとされています。また、上記②についても同様に、一時所得・雑所得などについて源泉徴収された所得税の額は、②の所得税の額から控除するものとされています。
つまり、予定納税基準額の計算には、雑所得と雑所得について源泉徴収された所得税の額は含まれないのです。
よって、今回のご相談の場合には、今年の7月と11月に所得税の予定納税を行う義務はないこととなります。
仮想通貨取引への注目が高まるにつれ、仮想通貨取引による所得に関する税務への関心も高まっています。このため、ネット上には様々な情報が飛び交っていますが、中には不正確なものが含まれていることがあるかもしれません。
税金に関することは、ぜひ当事務所へご相談ください。
未分類の最新記事
- 千葉で起業相談を受ける際に知っておくべきこと
- 不動産の貸付事業が該当されなかったケース
- 被相続人の行っていた不動産の貸付事業が小規模宅地の特例の特定貸付事業に該当されたケース
- 一般社団法人で理事会設置の注意点。監事は義務?
- 官報公告とは。どんな場合に必要?手順、費用などを専門家が解説!
- 賃金台帳 ダウンロードページ 顧問先様用
- 【会社設立後に知っておきたい税務】登録免許税の免税措置が2022年3月31日まで延長しました
- 【会社設立後に知っておきたい税務】2020年分の路線価等に係る地価変動補正率表を公表しました
- 【会社設立後に知っておきたい税務】2019事務年度における相続税調査状況を公表しました
- トラブルにならない会社の廃業(廃止)!解散・清算結了の流れを司法書士が徹底解説!
- 初心者向け!自分でもできる一般社団法人設立登記までの流れ。司法書士が解説
- 一般社団法人設立にお勧めの業種を司法書士が解説!
- 【会社設立後に知っておきたい税務】総務省による2021年度税制改正要望を公表
- 休眠会社のみなし解散とは?法務局から事業の廃止に関する通知が来た場合の対応策
- 一般事業主行動計画を公表します
- 【会社設立後に知っておきたい税務】法人税・消費税の中間申告期限も個別延長の対象へ
- 【会社設立後に知っておきたい税務】新型コロナウイルス感染症に伴うチケット寄附での優遇税制を創設!
- 船橋市で会社設立するときに行く窓口一覧。司法書士が無料相談実施中
- 千葉で0円で会社設立するなら山野淳一税理士事務所!累計200社以上のサポート実績!
- 令和4年 年末調整の送付資料に関するご案内 山野淳一税理士事務所
- 個人事業者と消費税の納税義務免除
- 開業年分の確定申告と少額減価償却資産の特例
- イデコ&退職金のダブル受給と所得税
- 個人白色申告と帳簿付け
- 得意先招待旅行と交際費
- 贈与なのに譲渡所得税が発生
- 日本政策金融公庫の創業融資ための要件 3
- 株の配当を申告する場合の課税方法の選択単位
- 仮想通貨雑所得とふるさと納税
- 源泉徴収選択口座に係る株の配当を申告するか否かの選択単位
- 株の配当に係る課税方法の変更可否
- 事業用車両の売却に係る所得区分
- 個人間売買に係る住宅借入金等特別控除の適用について
- セルフメディケーション税制/従来の医療費控除との選択適用
- セルフメディケーション税制/取組を明らかにする書類とは
- セルフメディケーション税制/人間ドック
- 外国籍労働者の年末調整
- アスファルト舗装のない駐車場と消費税
- 給与所得の源泉徴収票の配布
- 外国人学生アルバイトと源泉所得税
- ふるさと納税ワンストップ特例と期限後申告
- 休職中の従業員の年末調整
- 年末調整による過不足額がその月分の納付すべき税額を超える場合
- 年末調整の対象者は誰ですか?
- NPO法人が行う住宅改修事業に係る消費税の取扱い
- NPO法人に係る消費税取扱いの概要
- シロアリ駆除費用と還付申告
- 受贈者が贈与者より先に死亡した場合の相続時精算課税の課税関係
- コピーした契約書に印紙税は課税されるのか?
- 個人事業主が作成する帳簿書類等の保存期間
- 宿日直を継続して行った場合の所得税の課税関係
- 電動車いすの販売や修理についての消費税の取扱い
- 会社の海外研修期間に業務以外の期間が含まれている場合の法人税における取扱い
- 個人が土地等を収用等された場合の所得税の課税の特例と、買換え資産の取得費
- 休業後再開した場合の消費税の届出
- 被相続人が独居で相続人が賃貸暮らしの場合の小規模宅地等の特例
- 空き家敷地の譲渡所得の特例 1億円要件は?
- 消費税の任意の中間申告の届出期限等は?
- セルフメディケーション税制/適用要件
- 海外赴任後に賞与支給、確定申告できますか
- 事業の一部廃業の届出
- 個人事業者の特定期間
- 確定申告Q&A/財産債務調書のマイナンバーの記載
- 確定申告Q&A/贈与税申告のマイナンバーの記載
- 振替納税している者が期限後申告となった場合
- 営業権償却 平成29年度税制改正により月額計算
- セルフメディケーション税制/インフルエンザの予防接種
- セルフメディケーション税制/人間ドック
- 私道も小規模宅地等の特例の対象となるのか
- 国外転出時課税の住民税は
- 確定申告Q&A/クレジットカード納付
- 欠損金の繰越期間と帳簿の保存の改正
- 延納利子税の必要経費算入額
- 直系卑属への贈与 更正の請求は?
- 確定申告Q&A/PDFファイルでの提出
- 確定申告Q&A/所得税の確定申告書へのマイナンバーの記載
- 納税管理人が死亡した場合
- 負担付贈与後の受贈財産の譲渡について
- 雇用促進税制における「同意雇用開発促進地域」の判断
- 減価償却資産を転用した場合の償却費
- 加算税率の加重措置について
- 住宅の多世帯同居改修工事の特例の事例
- 中小企業向け 設備投資促進税制の改正
- 配偶者特別控除について
- 日本国籍ではない方の借入
- 協調融資に関して
- 創業融資の申し込みに必要な書類
サポートメニュー一覧
資金について相談したい!
会社設立について相談したい!
経営・税務会計について相談したい!
新着情報
-
2023/04/21
-
2023/02/14
-
2023/02/13
-
2023/02/12
-
2023/02/11