電動車いすの販売や修理についての消費税の取扱い

[相談]

 当社は輸送用機械器具を製造しております。このたび、身体障害者用の電動車いすの販売と、その電動車いすの修理を行う事業を新たに開始しました。この電動車いす事業について、消費税法上の取扱いを教えてください。

 

[回答]

 貴社における電動車いすの販売(譲渡)、修理については消費税法上、原則的に非課税取引となります。ただし、電動車いすの修理のうち一部のものなどは、消費税法上の非課税取引とはなりません。その詳細は下記解説にてご確認ください。

 

[解説]

 消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。

 その非課税取引に、「身体障害者の使用に供するための特殊な性状、構造又は機能を有する物品であって、厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定したものに係る譲渡、貸付け、製作の請負及び一定の物品に係る一定の修理」が含まれています。

 その「一定の物品」と「一定の修理」は厚生省(現在は厚生労働省)告示によって厚生労働大臣が指定しているのですが、その物品の一つとして「電動車いす」が定められています。

 このため、原則的に貴社が行う電動車いすの販売と修理については、消費税法上の非課税取引となります。

 ただし、電動車いす事業を含め、身体障害者用物品の譲渡等の事業を行うにあたっては、下記の点にご留意ください。

※留意事項

  1. 障害者自立支援法等に基づき給付される補装具、日常生活用具とは必ずしも一致しないものであり、これらの制度の対象となっていない物品であっても、非課税対象となるものもあること。
  2. 障害者自立支援法等に基づき給付される補装具、日常生活用具のみならず、一般購入した場合であっても非課税となるものであって、非課税措置を受けるにあたっては、購入時に身体障害者手帳を提示するなどの手続きは不要であること。
  3. 非課税対象となるのは、厚労省告示に該当する物品(その物品と一体として譲渡等がなされる一定の付属品を含む。)であって、部品(修理用部品を含む)、付属品のみの単体の譲渡等は、非課税対象とはならないものであること。
  4. 資産の譲渡等の時期は、原則として実際に物品の引渡しがあった時点であること。

 また、電動車いすの修理のうち下記の修理については、障害者自立支援法の給付対象となるものであっても、消費税法上の非課税取引とはなりません。

※消費税法上の非課税取引に該当しない電動車いすの修理

  • 枕(オーダー及びレディメイド)交換
  • バッテリー交換(マイコン内蔵型に係るものを含む。)
  • 外部充電器交換、オイル又はグリス交換
  • ステッキホルダー(杖たて)交換
  • 栄養パック取り付け用ガートル架交換
  • 点滴ポール交換
  • 延長式スイッチ交換
  • レバーノブ各種形状(小ノブ、球ノブ、こけしノブ)交換
  • レバーノブ各種形状(Uノブ、十字ノブ、ペンノブ、太長ノブ、T字ノブ、極小ノブ)交換
  • 日よけ(雨よけ)部品交換及びテーブル交換

 このように、電動車いす事業の消費税法上の取扱いは非常に複雑ですので、事業を行うにあたっては当事務所へご相談ください。

[根拠法令等]
消法4、6、消法別表第二、消令8~16の2、消基通6-1-1~6-13-9、厚生省告示第130号など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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